ボイラー技士の資格とは、労働安全衛生法に基づくボイラーの設置や保全業務を行うことが出来る国家資格です。かつ業務独占資格でもあります。
ボイラーは取り扱いを間違えたり、保全が不十分だと大事故につながる危険性があり、ボイラー技士の資格を持った有資格者しか作業することが法律で許されていません。
従ってあなたがボイラーを設置している工場や施設への転職を希望するなら、ボイラー技士の資格は非常に有利と言えます。
この記事では、ボイラー技士の資格がどう転職に有利なのか、資格の概要はどんなものか、そんなあなたの疑問にお答えします。
ボイラー技士の資格は設備保全の転職に有利か?
冒頭でも説明したように、ボイラー技士はボイラーの設置、保全には絶対欠かせない資格です。業務独占資格であるためボイラー技士の需要は安定しています。
主な転職先としては、各種プラントエンジニア、発変電所のメンテナンス、ホテルや大型施設などのビルメンテナンス、製造工場のユーティリティ保全などです。
そうした現場にはボイラーが設置されているので必然的にボイラー技士の需要があります。建設会社、ゼネコン、電力会社、メーカー、ビルメンテ請負企業などから求人が出ています。
ただし、ボイラーは年々技術革新が進んでおり、近年は高性能小型化によって届け出不要のボイラーも増えています。
とは言え、ボイラー技士としての需要が急激に減っている訳ではなく、転職市場におけるボイラー技士の資格はまだまだ需要があります。
転職サイトにおけるボイラー技士の求人件数
では、実際に大手の転職エージェントサイトでどのくらいの求人件数があるか、調査結果をご覧下さい。
【ボイラー技士の求人が多い転職エージェント】
転職エージェント | ボイラー技士の求人件数 |
リクルートエージェント | 201件 |
doda | 213件 |
メイテックネクスト | 23件 |
リクナビNEXT | 134件 |
*2021年11月調査。求人件数は時期によって増減します。
大手転職サイトの求人件数としては表のような結果でした。業務独占資格の割には求人件数がかなり少なめです。ボイラーの設置数からみて、この程度の求人なのは合点がいきません。
これには理由があって、ボイラー技士の資格は国家資格の中では比較的取得が容易です。多くの合格者が手記で公開しているように、過去問を中心にしっかり準備しておけば合格出来ます。
しかも他の資格と違って受検の機会が多く、試験は毎月実施されています。もし受検に失敗してもすぐに再受検が可能なのです。
従って、企業にボイラー技士の需要が発生しても、キャリア採用するまでもなく内部から受検者を選抜するケースが多いのです。
ボイラー技士の転職先を探す方法
このようにボイラー技士は業務独占資格で転職に需要はあるものの、求人件数が少ないため希望の転職先を見つけるのは難しいです。
ある程度時間がかかることを覚悟の上、複数の転職エージェントにサポートを依頼するのがお奨めの対策です。
また、各地のハローワーク利用も選択肢の1つです。ボイラー技士の求人はハローワークに結構出ています。
例えば東京都だけでも119件ほど求人があります。(2021年11月)
ハローワークの求人はどうしても地元の中小企業が中心なので、給与や福利厚生が転職エージェントの求人と同等までは難しいですが、とにかく求人件数はあります。
ボイラー技士の年収はいくらか?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2019年のボイラー技士の所定内給与額は、月額で235.7千円です。これは残業や休出などの手当ては含みません。
大手転職サイトの求人情報を見ると、年収ベースで400万円~500万円辺りが平均的な予定年収額です。
年収は上場企業、大企業からの求人の方が高額であり、そうした好条件の求人は早いモノ勝ちです。転職エージェントの複数利用をお奨めします。
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ボイラー技士検定の概要
【資格名】
ボイラー技士
特級・一級・二級があります。
【どんな資格か】
●ボイラーの取り扱いは労働安全衛生法に基づく「ボイラーおよび圧力容器安全規則」で決まっており、ボイラー技士だけがボイラーの設置や定期点検などの保全業務を行うことが可能です。
●ボイラー技士になるには厚生労働大臣が指定した安全衛生技術試験協会が行う検定試験に合格し、免状をもらうことが必要です。
●ボイラーを設置した企業における設備保全には絶対必要となる国家資格であり、業務独占資格です。
【受検資格】
●特級ボイラー技士
小規模ボイラーから伝熱面積500㎡以上
受検資格は一級ボイラー技士免許を受けた者。その他にも複数の受検資格があります。
詳細はこちらを参照下さい。
●一級ボイラー技士
小規模ボイラーから伝熱面積25㎡~500㎡以内
受検資格は二級ボイラー技士免許を受けた者。その他にも複数の受検資格あり。詳細は前述リンク先を参照下さい。
●二級ボイラー技士
小規模ボイラーから伝熱面積25㎡以内
受検資格は特にありません。誰でも受検可能です。ただし本人確認証明書が必要です。
【受験方法】
●試験は毎月1回~2回、全国のセンターにて実施されます。
●受検を希望するセンター窓口へ郵送か持ち込みで試験の申し込みを行います。
●二級ボイラー技士の試験は学科(ペーパーテスト)のみです。ただし、免状を受け取るには所定の実務経験、または実技講習の修了が必要になります。
●受検料 6,800円
【試験問題】
●特級ボイラー技士
以下の4科目で、各科目それぞれ1時間、合計4時間の試験です。
・ボイラーの構造に関する知識 6問(100点)
・ボイラーの取扱いに関する知識 6問(100点)
・燃料及び燃焼に関する知識 6問(100点)
・関係法令 6問(100点)
●一級ボイラー技士
以下の4科目で、2科目2時間×2=合計4時間の試験です。
・ボイラーの構造に関する知識 10問(100点)
・ボイラーの取扱いに関する知識 10問(100点)
・燃料及び燃焼に関する知識 10問(100点)
・関係法令 10問(100点)
●二級ボイラー技士
下記の4科目で、3時間の試験です。
・ボイラーの構造に関する知識 10問(100点)
・ボイラーの取扱いに関する知識 10問(100点)
・燃料及び燃焼に関する知識 10問(100点)
・関係法令 10問(100点)
ボイラー技士検定の過去問はネット上に多くのサイトから公開されています。例えば、『過去問.com』など参照下さい。過去問対策は非常に有効な試験勉強法です。
【難易度・合格率(2020年)】
●令和元年 ボイラー技士試験 合格率(2020年)
区分 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
特級 | 430人 | 125人 | 29.1% |
一級 | 3,100人 | 1,577人 | 50.9% |
二級 | 16,098人 | 9,400人 | 58.4% |
特級はさすがに難しいですが、一級、二級はどちらも50%以上の合格率です。しっかり事前準備をすれば合格が望めるレベルです。
ただし、検定に合格しても免状をもらうには色んな条件があります。
また免状をもらっても、それだけでボイラーが扱える訳ではありません。必要な技能を習得する必要があります。
検定合格から実際にボイラーを扱うまでの条件についてはこちらをご覧下さい。
【設備保全の転職に有利か】
ボイラーを設置している企業においては不可欠の業務独占資格であり、そこを目指す転職なら有利な資格と言える。
ただし、二級は資格取得が比較的容易であるため、この資格だけで断然有利とは言えない。
電気主任技術者、電気工事士などの資格も合わせて複数取得するか、一級、特級まで専門的に取得するか、どちらかで差別化できると転職に有利となる。
まとめ
ボイラー技士は業務独占資格ではありますが、比較的難易度が低いこと、毎月試験が実施されていることなどから、転職市場でそれほど需要が多い資格ではありません。
ボイラー技士の他に電気主任技術者、電気工事士などを合わせ持つとビルメンテ、発変電所などの求人に好条件があります。
あるいは特級まで取得して大型ボイラーの求人を探す手もあります。ただ求人件数はかなり少ないのでじっくり時間をかけて探してください。
モノづくりエンジニアの専門資格
モノづくりエンジニアに需要の多い専門資格 | ||
電気主任技術者 | 電気工事士 | 電気工事施工管理技士 |
機械設計技術者 | 機械・プラント製図技能士 | CAD利用技術者 |
機械保全技能士 | 自主保全士 | 電子機器組立て技能士 |
QC検定 | 公害防止管理者 | エネルギー管理士 |
危険物取扱者 | ボイラー技士 | 玉掛作業者 |
半導体製品製造技能士 | *** | *** |
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