機械保全技能士は電気工事士や電気主任技術者のように、業務独占資格や必置資格ではないため、資格そのものには需要がありません。
だから機械保全技能士をキーワードに求人を探しても、ほとんど見つかりません。
では、せっかく苦労して合格した機械保全技能士をどうやって転職に活かせばいいでしょうか?
それは、機械保全技能士の肩書ではなく、能力を必要としている求人を見つけて応募することです。
具体的には設備保全や生産技術の求人で、機械保全技能士のスキルを必要とする求人がかなりの件数あります。
そんな求人の中から、あなたのキャリアが活かせる求人、これから先やってみたい仕事を見つけるのです。
私自身、半導体工場で設備保全や生産技術の仕事に20年間関わっていました。エンジニアの採用や育成も担当しました。
そして部下の中には機械保全技能士が何人かいました。例外なく、彼らは保全エンジニアとして優秀でした。
こうした私の経験もまじえて、機械保全技能士の資格を活かせる転職エージェントを紹介します。
なお、これから機械保全技能士の検定を受ける人は、こちらの記事を参考にしてください。
機械保全技能士が活かせる、おすすめの転職エージェント5選
機械保全技能士の資格を活かす転職には、転職エージェントの利用をおすすめします。
それには理由があります。
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しかし、あなたが求人を見ても、どれが資格を活かせる求人なのか判断は難しいです。ほとんどの求人に「機械保全技能士募集」とは書かれていないからです。
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企業は肩書よりも、保全エンジニアとしての能力を求めているのです。
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そこで転職エージェントが、企業とあなたの間に入って最適な求人をマッチングしてくれます。
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企業が求める要件と、あなたのスキル、キャリア、希望条件が合致する求人を提案してくれます。
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あなたが機械保全技能士の資格を活かせる転職エージェントを5選紹介します。
なお、生産技術については、『生産技術の転職ノウハウと、おすすめの転職エージェント5選』で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。
ここでは設備保全について解説します。
マイナビメーカーAGENT
モノづくり・メーカーに強い転職エージェント
項 目 | 概 要 |
サービスの特徴 | ものづくりエンジニアの転職を支援 |
設備保全の求人 | 工場内保全だけでなく、サービスエンジニアの求人も多数あり |
求人が多い業界 | 機械・自動車・半導体・電子・電気・家電・化学 |
強みを発揮するエリア | 主に東京、神奈川、千葉、埼玉など関東圏 |
未経験者の応募 | 全体の数パーセント程度で少ない |
主な対象年齢 | 20代~30代の利用者が多い |
その他 | 厚生労働省認定の「職業紹介優良事業者」。初めての転職も安心 |
注意点 | 関東・関西・東海エリア以外では求人が少ない |
【マイナビメーカーAGENT】
※マイナビのプロモーションを含みます。
リクルートエージェント
求人件数が国内最大級の転職エージェント
項 目 | 概 要 |
サービスの特徴 | 求人件数は国内最大級。電気主任技術者の求人も最大級 |
設備保全の求人 | 18,000件以上 |
求人が多い業界 | 自動車・半導体・産業機械・プラント・家電 |
強みを発揮するエリア | 全国 |
未経験者の応募 | 全体の求人件数が多いので、他のサービスよりは探しやすい |
主な対象年齢 | 求人が多いので全年代で利用可能 |
その他 | 転職支援実績ナンバーワン |
注意点 | 設備保全の求人は45%以上が非公開。登録して情報入手。 |
【リクルートエージェント】
※リクルートエージェントのプロモーションを含みます。
doda(デューダ)
迷ったらまず登録、転職活動の鉄板転職エージェント
項 目 | 概 要 |
サービスの特徴 | 求人情報が詳細で分かりやすく、転職者満足度No1サービス |
設備保全の求人 | 6,000件以上 |
求人が多い業界 | 産業機械・半導体・精密機械・自動車・プラントエンジニア |
強みを発揮するエリア | 全国 |
未経験者の応募 | 全体の求人件数が多いので、他のサービスよりは探しやすい |
主な対象年齢 | 求人が多いので全年代で利用可能 |
その他 | スカウトサービス、パートナーエージェントサービスも利用可 |
注意点 | 非公開案件に好条件の求人あり。登録して情報入手 |
【doda(デューダ)】
※dodaのプロモーションを含みます。
メイテックネクスト
エンジニア転職に特化した転職エージェント
項 目 | 概 要 |
サービスの特徴 | エンジニア転職に特化、メーカーの人事担当者と太いパイプ |
メンテナンスの求人 | 1,900件以上 |
求人が多い業界 | 電気・電子・半導体・自動車・産業機器・化学・金属 |
強みを発揮するエリア | 主に関東、関西、東海 |
未経験者の応募 | 全体の数パーセント程度で少ない |
主な対象年齢 | 20代~30代向けの求人が多い |
その他 | 技術畑出身のコンサルタントが半数以上 |
注意点 | メンテナンス求人の80%以上は非公開案件。登録して下さい。 |
【メイテックネクスト】
※メイテックネクストのプロモーションを含みます。
リクルートダイレクトスカウト
年収アップ、ハイクラス転職をめざす転職エージェント
項 目 | 概 要 |
サービスの特徴 | ハイクラス限定のヘッドハンティングサービス |
設備保全の求人 | 500件以上 |
求人が多い業界 | プラント・ビルメンテ・設備管理・製造業 |
強みを発揮するエリア | 主に関東、関西、東海 |
未経験者の応募 | 未経験者不可(異業種、異職種の転職はあり) |
主な対象年齢 | 20代からシニア世代まで、能力があれば応募可能 |
その他 | 専門的なスキル、キャリアのない人には不向きなサービス |
注意点 | 難易度の高い、ハイクラスな設備保全求人が多い |
【リクルートダイレクトスカウト】
※リクルートダイレクトスカウトのプロモーションを含みます。
転職エージェントの利用法と注意点
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●転職エージェントは無料のサービス。過度に期待しないで活用する。
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●転職活動の主体はあくまであなた。エージェントに全てお任せは失敗のもと。
転職エージェントの活用法と注意点については、こちらの記事に詳しく解説しています。
こんなに機械保全技能士の求人は少ない!
冒頭から機械保全技能士の資格をキーワードにした求人は少ないと書きました。
それがどのくらい少ないのか、現状を説明します。
大手転職エージェントサービスで、機械保全技能士の求人件数を調べた結果です。
【機械保全技能士の求人件数】
転職エージェント | 機械保全技能士の求人数 |
doda | 95 |
リクルートダイレクトスカウト | 63 |
リクルートエージェント | 57* |
メイテックネクスト | 34 |
*リクルートエージェントは非公開案件を含まず。
*2022年7月調査。時期によって件数はかなり変動します。
表からお分かりのように、機械保全技能士の求人は圧倒的に少ないです。
表には出ていませんが、マイナビメーカーAGENTもほぼ同じレベルの求人数です。
私は2018年からずっとこうした調査を行っていますが、これでも最近になって増えた方です。
2018年時点ではもっと少なかったです。
同じ資格でも、電気工事士や電気主任技術者だと求人件数は断然多くなります。
例えば、リクルートエージェント単独でも、
●電気工事士 2,500件
●電気主任技術者 1,700件
こんなに求人があります。
やはり業務独占資格、必置資格は資格そのものに需要があるので、求人件数も多いのです。
では、どうやって機械保全技能士の資格を活かすか、この後に詳しく解説します。
機械保全技能士の肩書より、保全能力で求人を探す!
ここからはあなたが転職するとき、どうすれば機械保全技能士の検定を活かせるか、解説します。
まず、件数は少ないながらも機械保全技能士を応募条件に指定した求人が、どんな仕事で募集しているのか見てみましょう。
以下は応募条件に機械保全技能士の検定を必須、または歓迎に指定した求人例です。
●新規生産技術部門立上げに伴う管理職候補
予定年収 600万円~900万円
●既存工程の改善に伴う設備開発、工法検討、仕様化、設備メーカーとの折衝・管理、設備立ち上げなどのマネジメント業務
予定年収 800万円~950万円
●既存生産設備のシステム改良及び新規設備の導入
予定年収 400万円~600万円
●機械系の生産工程の効率化・改善等
予定年収 420万円~550万円
●化学プラントの機械の設備の管理・メンテナンスを通し、化学製品の安全・安定生産、生産性維持向上を担う仕事。
予定年収 400万円~700万円
●保全エンジニアとして、射出成型機の整備や金型の整備など、各種生産設備に対する保全、設備導入・改善活動を行う。
予定年収 350万円~450万円
●技術マネージャーとして、工場の設備改善・保全・TPM等の種々改善活動を指導し、現場担当者と共に課題解決を行う。
予定年収 400万円~900万円
●保全技能の講師として、グループ内各社の製造、技術系社員を対象に、技能・技術教育を実施する。
予定年収 300万円~560万円
このように、生産技術、設備保全の一部の求人に機械保全技能士の資格を指定した求人があります。
他にも100件ほど調査しみると、機械保全技能士は主に次の3つの仕事に対して求人が出ています。
・
②既存設備の改善・改造(生産性向上・品質向上・歩留まり向上など)
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③技術部門の責任者として生産ラインの保全マネジメントを行う。技術指導、エンジニアの育成を行う
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・
従って例と同じような業務内容、業務レベルの求人なら、応募条件に機械保全技能士の指定がなくても資格を活かせる可能性があります。
機械保全技能士を必要とする3つの職種とは?
具体的にどんな職種に機械保全技能士が必要とされているか調べた結果を紹介します。
マイナビメーカーAGENT、doda、メイテックネクストの3社における機械保全技能士の求人例、合計70件を調べました。
その結果、次の3つの職種に機械保全技能士の求人が多いことが分かりました。
①量産工場の設備保全・メンテナンス
機械保全技能士を活かす求人としては、もっとも件数が多いのが設備保全です。
業界、業種を問わず、日々量産工場で商品を生産するには設備の安定稼働が必須条件です。
その為の設備保全、メンテナンスは重要な仕事であり機械保全技能士の需要も多いのです。
難易度の高いスキルを必要とする保全や、保全グループのリーダー、管理職、教育担当などの求人が目立ちます。
特に求人の多い業界としては、電気・電子機器、自動車、半導体、産業機械などです。
②量産工場の生産技術
量産工場の設備安定稼働には生産技術の役割も大きなものがあり、ここでも機械保全技能士の需要があります。
新規設備の導入、立上げ、保全体制の構築。更には既存設備の改善、改造などが主な仕事です。
生産技術への転職に関してはこちらの記事をお読みください。詳しく解説しています。
③各種プラント工場の設備保全(プラントエンジニア)
プラント工場に設置された設備の運転、保守保全、改善・改造などに機械保全技能士が求められています。
化学、石油、電力、水処理、環境などの各プラントから、エンジニアの求人が多く出ています。
この求人はプラントエンジニアとして働きたい、と言う強い志望動機が必要です。
単に機械保全技能士の資格を活かしたいと言う動機では成功しません。
プラントエンジニアは量産工場の設備保全とはかなり仕事のやり方、求められる能力や役割が違います。
機械保全技能士としていったいどんな能力を求められているのか、個別求人を具体的に転職エージェントに確認してください。
設備保全の転職に必要な資格・経験・スキル
機械保全技能士を活かす求人としては、設備保全が最も件数が多いです。
ここでは設備保全の転職全般について、転職に必要な資格、経験、スキルなどを紹介します。
なお、もう一つの有力な転職先として生産技術があります。こちらの記事を参考にしてください。
機械系の保全転職に資格必要の求人は少ない
設備保全の求人で、機械系のエンジニア募集ならほとんど資格は要求されません。
そもそも機械保全技能士の資格さえ、需要があまりないことは説明してきた通りです。
一方、電気系のエンジニア募集は機械系に比べると資格要求が多いです。それでも求人全体からみれば20%程度です。
需要が多い資格としては、電気主任技術者、電気工事士の2つです。
設備保全の求人では資格より経験重視です。
単に資格を保有していても、実務経験がないと評価されません。
あくまで資格は知識やスキルの裏付けとしてアピールしてください。むろん、機械保全技能士も同様です。
資格の種類や取得メリットについてはこちらの記事に詳しく解説しています。
設備保全の転職には実務経験が必要
設備保全の求人に実務経験は必須と言えます。
資格がなくても応募、採用は可能ですが、経験なしだと応募も出来ない求人がほとんどです。
この傾向はどの転職エージェントでも同様です。
むろん機械保全技能士も例外ではなく、実務経験が必要です。
中には実務経験の年数指定をする求人もあります。一番多いのは3年以上の指定です。
私も半導体工場で長年、設備保全を担当していましたが、3年と言う指定は経験的に納得です。
設備保全は現場で経験を積んでスキルや知識を身に付けます。やはりあるレベルに達するには時間がかかります。
各転職エージェントの検索機能を使った、「設備保全+未経験者」の求人件数が次の表です。
【未経験者が設備保全の求人に応募できる割合】
転職エージェント | 未経験者歓迎求人の割合 |
リクルートエージェント | 27.1% |
doda | 2.1% |
メイテックネクスト | 5.2% |
リクルートダイレクトスカウト | 0.0% |
*2022年3月調査。求人検索機能を使って調べた結果。時期によって割合は変動します。
*マイナビメーカーAGENTの未経験者歓迎は全体の5.5%ほどです。
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それでも他の転職エージェントに比べれば未経験でも応募可能な求人が多いです。
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あなたが未経験から生産技術への転職を目指すなら、リクルートエージェントを軸に2社、3社の併用をおすすめします。
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リクルートエージェント以外の転職エージェントでは未経験者が応募できる求人は極めてわずかです。
なお、設備保全に限らず、未経験者がモノづくりエンジニアを目指す方法はこちらの記事をお読みください。
機械保全技能士の年収はいくら?
設備保全の年収全般に対して、機械保全技能士の資格保有者の年収は多いでしょうか?
転職エージェントの求人情報を見る限り、5%前後多い年収設定となっています。
ただ、この程度の差だと誤差の範囲内であり、明確に資格保有者の方が年収が多いとは言えません。
【設備保全の平均年収データ】
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●416万円(doda平均)
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●382万円(転職会議)
以上のように、設備保全の平均年収は400万円前後が目安となっています。(2022年3月調査)
むろん、保全業務のレベルよって、300万円から1000万円クラスまで、かなり幅があります。
あなたの転職の目標が年収アップなら、まずはリクルートダイレクトスカウトをおすすめします。
ハイクラス求人限定だけあって、年収も600万円~800万円クラスが多くあります。
ただし、年収が高い分、要求レベルも高くなります。
単なる点検や修理の求人はありません。
設備導入から立上げ、安定稼働に改善、改造まで広範囲な業務の求人となります。
まとめ
機械保全技能士は国家検定であり、設備保全の技能レベルを検定するものです。
かなり難しい検定ですが、合格してもそれだけでは転職市場に需要はありません。
業務独占資格や必置資格のように、許認可に関わる資格ではないからです。
機械保全技能士の検定合格者がいなくても、工場の保全は可能です。
ただし、資格に需要はなくても能力には需要があります。
あなたが機械保全技能士の検定に合格しているなら、それを転職に活かすため転職エージェントを利用してください。
転職のプロであるキャリアアドバイザーは業界情報、企業情報に精通しています。
あなたの機械保全技能士としてのキャリア、能力にマッチングした求人を提案してくれます。
せっかく頑張って合格した機械保全技能士の検定です。
転職にも最大限活かしてください。