玉掛けとは、、クレーンなどに物を掛け外しする作業のことです。クレーンの先っぽについているフックに吊荷を着けたり、外したりする作業ですね。
こんな感じでクレーンの先っぽにフックがありますよね。
作業中にフックが外れて吊荷が落下でもしたら一大事です。作業者や場合によっては通行人など無関係の人まで巻き込む事故につながりかねません。
従ってクレーンの操作には必ず玉掛けの資格を持った人が従事することが義務付けられています。
玉掛けは労働安全衛生法によって定められた立派な国家資格であり、業務独占資格でもあります。
ただ、玉掛けの資格を持っているからといって、生産技術や設備保全の求人に断然有利になることはありません。
そこまで転職市場で需要の多い資格ではありません。
しかし、資格を持っていて損はありません。私が勤務していた半導体工場でも何人か、玉掛けの資格保有者がいました。
設備の搬入、搬出、移動には出番がやってきます。
あなたも工場でモノづくりエンジニアを目指すなら、取得ありです。
玉掛け技能者は設備保全の転職に有利か?
玉掛けは業務独占資格であり、クレーン操作には資格保有者が必須となります。しかし、逆に言えばクレーンを使わない現場では必要ありません。
例えば、工場内で生産設備の保全をやっていると、新規設備の導入や大規模な移設、レイアウト変更などでクレーンが登場することがあります。
しかしこんな場合はたいてい運送業者に依頼して設備を搬入したり移動します。そうそう頻繁にクレーンが登場する必要もないので業者任せです。
従って社内に玉掛け技能者がいる必要もありません。
もっとも、私が勤めていた半導体工場では一部に天井クレーンが設置されており、重量物の搬入や梱包などに使っていました。
それはわざわざ外部業者を使うまでもないので、内部の人間で作業をやっていました。でもまぁ、そんなに需要の高い資格とは言えません。
ところが、プラントや大型施設の設備保全をやっていると、それこそ頻繁にクレーンを使うことがあります。そこでは玉掛け技能者が内部に必要となります。
私が今まで調べた設備保全の求人でもプラント、大型施設の設備保全ではクレーン、玉掛けは非常に需要の高い資格です。
ただ、そんな求人でも玉掛けが応募の必須条件になることはまずありません。歓迎条件がほとんどです。
これは、玉掛けが比較的容易に資格が取れること、すでに資格保有者がある程度いることなどが理由です。どうしても外部からのキャリア採用に頼らなくてはならない資格ではありません。
そんな訳で、玉掛けの資格は設備保全の転職に有利かと言えば、保全現場によっては歓迎されるが、各段に有利とまでは言えない、そんな感じだと思います。
ただ、あなたがどんな職種にせよ工場で働きたい、工事現場で働きたいと希望するなら、持っておいて損のない資格です。
あなたご自身の活躍の場が広がるし、いざとなれば転職に際して多少なりとも役に立つ可能性があります。
玉掛けの求人は資格なしでも採用される
玉掛けの求人は、当然ですがクレーンを使う現場の求人が多いです。
建設会社や電気工事会社、大手ゼネコンの下請け企業、プラント関連会社、大型の産業機械のメーカーなどから求人が出ています。
職種としては、エンジニア職より製造職の方が多く求人が出ています。現場作業で必要な資格なのでそうなります。
先ほども説明したように、これらの求人では仕事内容に玉掛けは出てきますが、応募資格に玉掛けはまず出てきません。
出ていても、せいぜい歓迎条件であり、必須ではありません。
早い話、玉掛の求人なのに、玉掛の資格を持ってなくてもいいのです。
なぜなら、転職した後に玉掛けの資格を会社費用で取得してもらう、という条件で採用なのです。
玉掛けの資格を取得するのはそれほど難易度が高いものではありません。短期間で取得可能です。
従って、中途採用で玉掛けの資格を持っているから採用する、と言うケースはあまりありません。
それより、もっと難易度の高い資格を持っているとか、加工や組立てのスキルを持っているとか、そうした経験の方が重視されます。
そうして採用した人材に、必要に応じて会社費用で玉掛けの資格を取得してもらうわけです。
工場の仕事が見つかる転職サイト
玉掛けは工場や工事現場で役に立つ資格です。そうした仕事を探すのに役立つ転職サイトを2社紹介しておきます。
職種は様々ですが、いずれも工場の仕事を中心に紹介している転職サイトです。
玉掛けの資格が活かせるおススメ転職サイト |
【工場ワークス】は100%工場の仕事に特化した転職サイトで、設備保全やメンテナンスの仕事を工場で探したい人におススメの転職サイトです。資格や経験なしでも応募出来る求人が多数あります。
※工場ワークスのプロモーションを含みます。 |
【工場求人ナビ】は2020年オリコン顧客満足度調査 製造派遣No1です。派遣社員として設備保全、メンテナンスの仕事を探したい人におススメの転職サイトです。日総工産の技能社員として正社員に採用される可能性もあります。
※工場求人ナビのプロモーションを含みます。 |
玉掛け技能者の概要
【資格名】
玉掛け技能者
【どんな資格か】
●クレーンを使うのに吊荷を掛けたり、外したりする作業で必要な資格。
●学科講習と実技講習で取得出来る資格です。特別な試験などはありませんが、立派な国家資格です。
●クレーンの制限荷重が1トン以上と1トン未満で資格の取得方法が異なります。
●プラント関連や大型施設の設備保全では需要が高く、応募条件に歓迎指定される資格です。
●逆に工場内の生産設備のみ保全作業する場合にはほとんど出番のない資格です。
【受講資格】
18歳以上なら特別な受験資格はありません。
【受講方法】
●制限荷重1トン以上のクレーン
・玉掛け技能講習を修了する必要があります。
・19時間(3日間)
・¥20,000~30,000
●制限荷重1トン未満のクレーン
・玉掛け技能講習、または玉掛け特別教育を修了する必要があります。
・9時間(2日間)
・¥15,000~¥25,000
●講習は全国各地のクレーン教習所、産業機械技能教習所、コマツや日立建機、キャタピラー教習所などで受講できます。
【玉掛け技能講習(3日間)】
クレーンの制限荷重が1トン以上の場合に必要な資格です。
実際の吊荷の重さに関係なく、クレーンの制限荷重で決められています。
●学科(12時間)
・クレーン等に関する知識 1時間
・クレーン等の玉掛けの方法 7時間
・玉掛け作業に必要な力学に関する知識 3時間
・関係法令 1時間
●実技(7時間)
・運転のための合図 1時間
・クレーン等の玉掛け 6時間
*各種クレーンの運転士免許を保有していたり、運転技能講習を修了していると講習内容が一部免除され、短時間で終わります。
【玉掛け特別教育(2日間)】
クレーンの制限荷重が1トン未満の仕様の場合に必要となる資格です。
●学科(5時間)
・クレーン等に関する知識 1時間
・クレーン等の玉掛けの方法 2時間
・玉掛け作業に必要な力学に関する知識 1時間
・関係法令 1時間
●実技(4時間)
・運転のための合図 1時間
・クレーン等の玉掛け 3時間
*所有する資格や、業務経験によって免除規定があります。
【設備保全の転職に有利か】
プラント関連、大型施設の設備保全には需要の高い資格です。
そうした現場に設備保全として転職希望の場合はプラスです。ただ、この資格だけで採用の決め手になるほどではありません。
【資格取得の難易度はどうか?】
ハッキリ言って、難易度は低いです。上記受講を終えればそれで資格が取得出来ます。
私が勤務していた半導体工場でも玉掛けの資格を持った人はけっこう多くいました。難易度が低いので取り合えず取得した、と言う人が大半でした。
まとめ
玉掛けは短期の講習だけで取得できる資格ですが、りっぱな国家資格であり、業務独占資格です。
クレーンの玉掛け作業はこの資格なしには出来ません。
生産技術や設備保全などの職種でこの資格を持っていれば何かと役に立ちます。
ただ、転職の際にこの資格だけで採用されることはありません。他のキャリア、実績の中に混ぜてアピールすれば効果的です。
なお、実際の作業現場では、玉掛の資格と合わせてクレーン作業に必要な資格も必要になることが多いです。
こちらの資格はクレーンの仕様や荷重によって資格が細かく分かれています。
モノづくりエンジニアの専門資格
モノづくりエンジニアに需要の多い専門資格 | ||
電気主任技術者 | 電気工事士 | 電気工事施工管理技士 |
機械設計技術者 | 機械・プラント製図技能士 | CAD利用技術者 |
機械保全技能士 | 自主保全士 | 電子機器組立て技能士 |
QC検定 | 公害防止管理者 | エネルギー管理士 |
危険物取扱者 | ボイラー技士 | 玉掛作業者 |
半導体製品製造技能士 | *** | *** |
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