品質管理の面接では、この人に会社の品質を任せても大丈夫か、それを試されます。
面接だけで応募者の知識やスキルは分かりませんが、適性や向き、不向きは分かります。
「品質管理の仕事に向いている人・不向きな人」と言う記事を載せましたが、まさにここが面接のカギとなります。
品質管理の面接では必ずと言っていい鉄板質問が用意されています。
その質問にあなたがどれだけアピールできるか、それが採否の分かれ目となります。
その回答は、あなたのキャリアの中にあります。
あなたが品質管理の適性を持っていること、困難な課題をクリアしてきたこと、それを実績に絡めてアピールしてください。
私は半導体工場で20年間、設備周りを担当しながら品質管理の仕事にも携わっていました。
品質管理部門の責任者が、どんな面接を行ってきたか、どんな質問を行っていたか、それを記事にしたいと思います。
また私自身も過去の転職活動の中で、1社だけ品質管理の求人に応募した経験があります。そこで面接試験を受けました。
これらの体験から、品質管理の面接で大事なアピールポイントを解説したいと思います。
これから品質管理の仕事で転職を目指すあなたに、参考になれば幸いです。
品質管理の面接で一番大事なことは?
就活マニュアル、転職ノウハウ本には必ず面接試験に関する傾向と対策が出てきます。
「必ずこんな質問をされます。」
「その質問に対する模範解答はこうです。」
みたいな内容です。
確かにこうした情報は役に立ちます。一通り読んでおくに越したことはありません。しかし、あくまで参考程度に読んでおけばいいと思います。
なぜなら、本当に面接試験で重視すべきことはほとんど書かれていないからです。少なくとも品質管理や品質保証の面接に役立つ内容は出てきません。
それも無理はありません。品質管理や品質保証に限定した面接試験のノウハウなど書いても読んでくれる人が限られているからです。
出版物は大勢の読者を対象にしています。どの職種の面接を受ける人にも役立つような内容ばかり書かれています。
それゆえ、服装からドアの開け方、椅子の座り方、話し方におじきの仕方まで解説しています。どれも間違ったアドバイスではありません。正しいことばかり書いてあります。
でも、その通りにしたからと言って採用される訳ではありません。本当はそれぞれの職種に対してそれぞれの傾向と対策があるはずです。
品質管理、品質保証の採用試験ではそこに特化した対策が必要です。
さて品質管理、品質保証の面接であれば、面接官が必ず見極めたいと思うポイントが5つあります。
- ①なぜ品質管理の仕事に応募したのか?なぜ当社を選んだのか?(志望動機)
- ②今までどんな品質管理の仕事をしたきたのか?(実績・キャリア)
- ③品質管理の仕事に向いているか?(適性)
- ④強みは何か?(採用のメリット)
- ⑤品質トラブル・顧客クレームにどう対応してくれるのか?(今後の期待値)
問いかける言葉は多少違うかも知れませんが、この5つは品質管理の鉄板質問と言えます。
品質と言う企業にとっては生命線とも言うべき最重要課題を任せるだけの能力、適性を持ってるかを面接で試験されるのです。
従ってあなたが面接試験に合格し、最終的に採用されるには先にあげた5つのチェックポイントに対して面接官に安心感を与える回答を返す必要があります。
あなたになら品質管理を任せても大丈夫だと納得してもらうこと、これが面接で一番大事なことです。あなたの全神経はそこに向かって注がれなくてはなりません。
品質管理の面接で、ドアの開け方や椅子の座り方、お辞儀の仕方を重視する面接担当者はいません。
そもそも、なぜあなたは品質管理の仕事をしているのか?
キャリア採用の面接試験では、必ず志望動機を聞かれます。
志望動機は面接官が必ず見極めたいポイントの1つである、あなたの品質管理職としての適性、資質を測る為の質問と言えます。
志望動機を答えるには、次の3つのステップを踏んで答えると分かりやすくなります。
●なぜ品質管理の仕事がやりたいのか。
・
●今の会社でそれが出来ない理由。
・
●この会社に応募してそれが出来ると思った理由。
この回答を通して、
「あなたが品質管理、品質保証と言う仕事を正しく理解し」
「その上で自分の性格や価値観が品質管理の仕事に向いていると自分で確信しているかどうか」
そこを面接官は知りたいのです。
【回答例】
●私にとって品質管理はとてもやりがいのある仕事です。
品質に関する顧客の悩みを解決し、要求を満たし、感謝されることに喜びを感じます。
また自分たちが品質保証している商品が市場で多くのユーザーに使われていることに対する満足感、プライドも感じています。
私は品質管理という仕事を通じて企業活動に貢献し、顧客に満足してもらえるよう仕事がしたいと思っています。
●しかし、今の会社は年々、品質管理部門が縮小され思うような活動が出来なくなりました。今後も会社の方針が変わる見込みがありません。
それで私はもっと自分の力を出せる環境が欲しくて転職を考えました。
●転職活動の中で、御社の会社案内や求人情報を拝見しました。
品質管理に高い次元で取り組む方針にすごく共感しました。こんな会社で今まで以上に自分の力を発揮したい、能力を高めたいと思いました。
今の会社を辞めたい理由は、マイナスイメージな理由をあげない方がいいです。
給料が安すぎる、休みが少ない、上司と合わない、こんな理由は本音であっても出さない方がいいです。
不平不満ばかり言う人間だと思われかねません。
辞めたい理由は前向きな、プラス思考で考えてください。
あなたのキャリアを語る時、一番大事なことは?
さて、品質管理、品質保証の面接で大事な質問は、あなたの実務経験を問うものです。
今までどんな品質管理の仕事をしたきたのか?
これは品質管理の面接に限らず営業職でもエンジニア職でも必ず質問されます。
キャリア採用の面接である以上、キャリアを問うのは必然です。
そこであなたの実務経験が1年や2年そこそこなら、技術面やスキル面を強くアピールすればいいと思います。
QCの7つ道具を使いこなせる、使いこなした上でこんな実務をこなしている、と言う話をすればいいと思います。
しかし、すでに実務経験が3年、5年以上あるならそんな話では全く不十分です。そんな技術面は出来て当たり前、実務経験として話すポイントはそこではありません。
以前、『品質管理の仕事に向いている人・不向きな人』と言う記事を掲載しました。
この中で、品質管理の仕事はメンタルが強くなければ出来ないと言うことを書きました。
その理由については記事をお読み頂くとして、あなたが実務経験を語るとき、ぜひメンタルの強さを物語るエピソードを入れて下さい。
心が折れそうになるような大ピンチを強い精神力で乗り切った経験を話して下さい。パソコンのスキルやQCの7つ道具の話などはどうでもいいです。
品質管理や品質保証の仕事でメンタルの強さを試される場面と言えば、私の経験からこんなケースです。
【回答例】
●深刻なカスタマークレームの対応
・
●重要な顧客からの品質監査やISOなどの外部監査
・
●新製品や新ライン導入による新規の品質管理・品質保証体制の構築
この3つが相当に精神的負担の大きな仕事でした。
特にカスタマークレームの対応は本当に苦労しました。
まず、クレーム発生と言うのは大抵の場合、想定外です。突発的に発生するので、心の準備が出来ていません。
クレームの発生はいきなりメンタルの強さが試されるのです。あくまで冷静に、客観的に事実認定を行い、クレーム発生の原因を突き止めその解決を図らねばなりません。
それも最短コースを見つけて解決のゴールへたどり着く必要があります。解決の遅れは被害の拡大を意味します。
そこでは何よりスピードが大事であり、なおかつ顧客が納得する解決先を提示する必要があります。顧客の不安、不審を取り除き、再び安心、信頼してもらう必要があります。
それを実現するために最も必要なことは、技術面よりまず精神的な強さです。
クレームでパニックになり、色んな部署が色んなことを言う中であくまで冷静で正確な判断を下さねばなりません。
それは社内の製造や開発部門に対しても、外部の顧客に対しても同様です。言うのは簡単ですが、実行するのは極めて難しいです。
あなたがどのポジションでクレーム処理に対応したか、それによってメンタルの強さを試される度合いも変わるでしょう。
責任者として最前線で指揮したのか、一担当者として指示に従って対応したのか。それぞれの立場で自分の経験を語って下さい。
仮に一担当者として対応したとしても、それなりのプレッシャーは感じたはずです。顧客だけでなく上司からのプレッシャーや社内からのプレッシャーもあったはずです。
それらのプレッシャーにどう立ち向かって自らの品質管理、品質保証と言う仕事を遂行したのか、そこを面接で話して下さい。
品質トラブルや顧客クレームの対応経験を話すと、先にあげた面接官が知りたい5つの項目のうち②から⑤まで4つを同時に回答することができます。
- ①なぜ品質管理の仕事に応募したのか?なぜ当社を選んだのか?(志望動機)
- ②今までどんな品質管理の仕事をしたきたのか?(実績・キャリア)
- ③品質管理の仕事に向いているか?(適性)
- ④強みは何か?(採用のメリット)
- ⑤品質トラブル・顧客クレームにどう対応してくれるのか?(今後の期待値)
あなたが実際に品質トラブルやクレーム処理の仕事をしていたのなら、ぜひこれをアピール材料にしてください。
あなたの強みはピンチにも動じないメンタルの強さ、問題解決に欠かせないコミュニケーション力であることをアピールしてください。
それが品質管理と言う仕事に向いている適性だとアピールできます。
面接の時にどのキャリアを話すかはあなた次第です。必ずしもトラブル処理やクレーム処理でなくても構いません。
ただ、目的はあなたのキャリアを説明するのに、メンタル面の強さをアピールすることです。
品質管理、品質保証の仕事にメンタルの強さは欠かせない条件であることを忘れないで下さい。
コミュニケーション能力も必要
品質管理、品質保証の仕事で欠かせない能力としてコミュニケーション能力があります。プレゼン能力も必要です。
面接試験でアピールすべきことをあなたの言葉で、熱く、分かりやすく語る必要があります。あがり症でうまく話せないあなたは、ともかく話す内容を絞りこんで下さい。
多くを話そうとすると余計にあがります。どんなにいい話でも相手に伝わらないと意味がありません。
あなたは何も流暢に話す必要はありません。アナウンサーや司会者のように、話し方のプロではないのですから、上手に話す必要もありません。
ただ、あなたが伝えたいことがしっかり正確に相手に伝わるように話せばいいのです。
話すことが苦手、コミュニケーションが苦手、と言うあなたはトレーニングする必要があります。一人でトレーニングすることは難しいので、セミナーに参加されることをお奨めします。
私も以前はあがり症がひどくて人前で話すのが大の苦手でした。しかし、箱田忠昭氏のセミナーはじめ、いくつかの研修に参加することでかなり改善出来ました。
箱田忠昭氏のセミナーは推薦度100%ですが、ご高齢のため今現在も現役でセミナーをやられているのか分かりません。
興味のある方はホームぺージから問い合わせてみてください。自腹を切っても受講する値打ちは十分あります。
いくつかのセミナーの中で断トツに有益であり、効果を確認できたセミナーです。
品質管理、品質保証の仕事を続ける上で、コミュニケーション能力、プレゼン能力は必須です。面接試験でもそこは必ずチェックされます。これも覚えておいて下さい。
まとめ
今回は品質管理、品質保証の面接試験を受けるにあたって、何が一番大事かを私の経験から記事にしてみました。
あなたが面接試験を受けるにあたって、最もアピールすべき点は次の2つです。
●品質管理、品質保証の仕事を正しく理解しているし適性がある。
・
●品質管理、品質保証で即戦力となり得る実績を積んで来た。
前者をアピールするためには、
「なぜ品質管理の仕事を選んだのか」
「品質管理のやりがい、面白味はどんなことか」
これをあなた自身の言葉で話してください。
そして後者をアピールするには、
「あなたのメンタルの強さ、コミュニケーション能力を示すエピソード」
を話してください。
冒頭にも書きましたが、面接試験のマニュアル本、ノウハウ本は巷に溢れています。読めば読むほど何が一番大事なポイントか、分からなくなります。
あれも大事、これも大事、パニックになってしまいます。
あなたはもっとシンプルに考えて下さい。あなたは品質管理、品質保証の面接試験を受けるのです。
ならば、面接官はあなたがその仕事に向いているかどうか、適性はあるのか、即戦力としてのキャリアを積んでいるのか、それが知りたいはずです。
お辞儀の仕方や椅子の座り方よりそっちの方がずっと重要です。