転職エージェント

私は自分で転職エージェントを利用して転職した経験はありません。

しかし、逆の経験なら豊富です。

半導体工場で20年間、モノづくりエンジニアの採用に人材紹介会社を使っていました。

そこで様々な経験をしました。

 

転職エージェントの活用法を知るには、そもそも転職エージェントがどんなものかを知る必要があります。

転職エージェントは活用法によっては大変心強いサポートを期待できますが、反面過度の期待は禁物です。

 

転職エージェントの活用法を私の体験もまじえて紹介します。

転職の主体はあくまであなたご自身であり、転職エージェントは活用すべきサービスであることを分かって頂ければ幸いです。

 

そもそも転職エージェントとは何か?

転職エージェントとは、企業とあなたの間に入って転職が成功するよう、様々なサポートしてくれるサービスです。

転職エージェントサービスの歴史とサポート内容について説明します。

転職エージェントの歴史

私が初めて転職した30年前は、転職情報の主体は紙媒体でした。求人雑誌や新聞の求人広告を必死になって集めていたものです。

むろん、転職エージェントなんて無料で利用できる便利なサービスはありませんでした。

 

求人雑誌

 

求人件数で国内最大級を誇るリクルートエージェントが、就職情報をオンライン化し始めたのが1996年です。

それまでに様々な分野の求人・就職雑誌を発行していました。

もっとも、リクルートエージェントと言う社名になったのは2006年でした。『株式会社リクルート沿革・歴史』より。

 

一方、これまた人気の大手マイナビエージェントがオンラインで就職情報を提供し始めたのが1995年です。だいたい、リクルートエージェントと同じ時期ですね。『マイナビ沿革』より。

 

同じく人気大手のdoda(パーソルキャリア運営)がサービスを開始したのも同時期の1997年です。『パーソルキャリア沿革』より。

以来、様々な分野の求人・転職情報をインターネットで提供するサービスは拡大し、転職エージェントと言うサポートサービスも広く利用されています。

転職エージェントのサービス・サポート

転職エージェントのサービス機能としては、主に次の3つです。

 

①企業と転職希望者の最適マッチング

②履歴書・職務経歴書などの添削指導と面接サポート

③面接・入社日、年収などの交渉サポート

 

この3つを転職のプロであるキャリアアドバイザーが完全無料でサポートしてくれます。

この他にも各転職エージェントが個別のサービスでメリットを差別化しています。

しかし、大きく言えばこの3つが転職エージェントサービスの柱です。

詳しくは当サイトの個別エージェント記事をお読みください。

モノづくりエンジニアにおすすめの転職エージェント

 

後ほど詳しく解説しますが、こうした便利なサービスが完全無料で利用できます。

あなたはどんなに転職エージェントを利用してもタダです。費用の発生はありません。

あなたの転職が成功したら、転職エージェントは企業から紹介料を受け取ると言うビジネスモデルになっています。

従ってあなたは安心して転職エージェントサービスを利用することが出来ます。

 

しかし、いくら無料で利用できるサービスとは言え注意点はあります。

それをこれから詳しく解説します。

 

転職エージェント利用の注意点とは?

今や転職を考える人にとって転職サイト、転職エージェントは必須ツールと言っても過言ではありません。

しかし、利用した人の全てが望み通りの転職を叶えたわけではありません。

中には失敗した人もいます。

そんな人は、

「転職エージェントの選び方を間違ったのか?」

「転職エージェントの活用法を間違ったのか?」

といった思いを持つことでしょう。

 

そこでネットには転職エージェントの選び方や活用法の注意点を解説した記事が溢れています。

読んでみるとだいたい、どのサイトの記事も同じような内容です。

 

転職エージェント活用の注意点

①希望とは違う求人を紹介されても、むりに応募する必要はない。

②経験の浅い、実力のないエージェントもいる。

③あなたとエージェントの相性が合わないこともある。

④エージェントのペースに乗せられず、自分のペースで転職活動をする。

⑤こちらが転職に積極的な姿勢を見せないと、サポートも不十分になる。

 

他にも色々と注意すべき点はありますが、ざっとこの5点は必ずどの注意記事でも登場してきます。

そしていちいちもっともです。どれも注意点としては当たっています。

こうしたすでに指摘済みの注意点もふまえて、私からあなたに3つだけ注意点を述べます。

それは次の3点です。

①転職エージェントサービスのビジネスモデルを理解する。

②転職エージェントに過剰に期待しない。

③転職エージェントは相性より能力重視でお付き合い。

 

転職エージェントサービスのビジネスモデルを理解する

転職エージェントサービスは無料で利用できます。あなたにコスト負担は1円もありません。

なぜ無料で手厚いサポートを受けることが出来るのか?

それは、あなたの転職が決まったあかつきに、転職エージェントは求人企業から紹介料を受け取る、こんなビジネスモデルだからです。

 

これを言い換えると、転職エージェントはあなたの転職が決まらなければ1円の売上もない、使った経費や手間の分だけ赤字になる、と言う事です。

 

赤字

 

そこで、転職エージェントは当然のようにこう考えます。

『なるべく早く、1人でも多く転職を成功させたい。』

これが転職エージェントの至上命題です。決してボランティアや趣味であなたに仕事を紹介している訳ではありません。

これは覚えておいて欲しい事実です。

 

先程の注意点で、希望でない求人を紹介されるとか、高額年収を勧めてくるとか、それも転職エージェントの立場になれば理解できます。

ある意味当然のやり方とも言えます。

 

だからといって、転職エージェントは自社の利益だけを優先させ、いい加減な仕事をする訳ではありません。

仮にいい加減な紹介をして転職が成立したとしても、すぐに辞めてしまえば転職エージェントへの報酬は減額になり、信用も失います。

求職者、求人企業、双方にプラスとなる転職が成功してこそ、エージェントもまた儲けることが出来るのです。

 

ウィンウィンの関係
あなたも、企業も、エージェントもプラスになる

 

ただ、それは理想であり全てのエージェントがそう考えて仕事をしているとは限りません。

中には極端ではないにしろ、自分の利益優先で仕事を紹介してくるエージェントがいるかも知れません。

 

転職エージェントサービスというビジネスモデルを理解した上で、過剰にエージェントを信用しないことです。

彼らに言われたことが唯一絶対ではありません。あくまで情報のひとつだと聞くだけ聞いて、最終判断はあなたがすればいいのです。

 

ただ企業と太いパイプを持つエージェントは、あなた一人では決して手に入らない貴重な情報を持っています。

また多くの転職をサポートしてきた経験から、適切なアドバイスもしてくれます。

転職エージェントがこうしたメリットを持っているのもまた事実です。

 

例えば、希望していない求人や、受かりそうもない高額年収の求人を紹介される、と言う不満も考えようです。

もしかしたら、エージェントはあなたの可能性を新しい分野に見出して、今までとは違う職種を勧めているのかも知れません。

 

また、あなたのキャリア、能力を高く評価してくれそうな企業を見つけて高額年収の求人を紹介してくれたのかも知れません。

 

転職エージェントサービスにはメリットもデメリットもあると理解した上で、有効に活用することが必要です。

メリットデメリット

転職エージェントに過剰に期待しない

どこかの転職エージェントサービスにお願いすれば、それで必ずあなたの希望が叶う、なんて甘い話は絶対にありません。

転職エージェントはあなたの転職をサポートはしてくれますが、あくまで主体はあなた自身です。

あなたが考え、あなたが行動するしか成功への道はありません。

 

第一、転職エージェントはあなた一人だけを担当する訳ではありません。

何十人もの転職希望者とやり取りしながらサポートをしているのです。

先ほど転職エージェントのビジネスモデルを説明しましたが、あなた以上に優先順位の高い転職希望者がいれば後回しにされてしまいます。

 

優先順位

 

あるいは、運の悪いことにあなたを担当したエージェントは先月入社したばかりの新米さんかも知れません。

転職エージェント自身もまた転職の多い職業です。

 

かつて私がエンジニアの求人をお願いしていた人材紹介会社でも、担当者はよく変わっていました。

私はエンジニアの紹介しか頼まないのに、エンジニアにまったく疎いスタッフが担当者になったこともありました。

だから私は常に複数社に人材紹介を依頼していました。決して1社だけにお願いすることはしませんでした。

人材紹介会社を信用していない訳ではないのですが、限界はあると認識していたからです。

うちの会社の為だけに仕事をしている訳ではない以上、こちらの希望が全部叶うはずもないのです。

 

だからあなたが転職エージェントを活用する時も、過剰に期待しないことです。

大いにメリットは活用するとして、でも任せきりで希望の転職が出来ると思わないことです。

言われた通りに応募して成功するとは限らないことを知っておいてください。

 

転職エージェントは相性より能力重視でお付き合い

転職エージェントとの相性がいい、悪いは必ずあります。

何しろ人間同士のお付き合いですから当然です。

そこで、多くの解説サイトでは、

「相性が悪いエージェントが担当になったら代わってもらいましょう。」

と言うアドバイスが目につきます。

転職エージェントは、これから長く付き合う友達ではない

実際、転職エージェント側でも相性が合わずに担当を代えて欲しいときは遠慮せずに申し出てくださいと言っています。

dodaには交代専用の申し込みページがあるし、マイナビメーカーAGENTやリクルートエージェントなどでも窓口こそないものの交代は遠慮なくとしています。

 

面接

 

確かに相性のいい担当者だと話しやすいし、気持ちも楽になります。

しかし、考えて欲しいのは転職エージェントはあなたにとってどんな存在か、と言う点です。

別に長きに渡って付き合う友人ではありません。

あなたの転職が成功すればそれで終わりのお付き合いです。

相性の問題は何年も続くわけではないのです。

あなたの転職をがっちりサポートしてくれるなら、相性の問題は我慢すべきだと申し上げたい。

相性が合う方が珍しい

そもそも、たまたま登録した転職エージェントサービスの担当者と相性が合う方が稀です。

それはあなたの職場や身内、ご近所の人間関係を考えても分かるはずです。

相性のいい人はめったに見つかるものではありません。

それに、いくら相性が良くても転職エージェントとしての能力に問題があればそっちの方がよほど問題です。

 

私もどちらかと言えば人付き合いは得意でありません。

相性の合わない人と話すのは苦痛だし苦手です。

しかしエンジニアの採用をお願いする人材紹介会社の担当者がどうにも相性が合わない場合もありました。

そんな時は極力仕事の話だけをして、それも出来るだけ短時間で済ませるようにしていました。ムダ話、世間話はしません。

 

あなたも転職を成功させるという目的があるのですから、相性の問題は許容範囲を大きくとって下さい。

提供される求人情報に価値があるかどうか、それでエージェントを判断してください。

あなたにとって大事なのは転職エージェントとの相性ではなく、価値あるサポートを提供してくれるかどうかです。

 

面接でアピールする

どうしても交代して欲しい時の要望の仕方

しかし、どうにも我慢出来ない、話すのも嫌だとなれば仕方ありません。

転職エージェントに代わってもらいましょう。

ただその場合でも何となく嫌いだとか、話がしにくいとか、そういった理由は出さない方がいいです。

そんな理由ではどんなエージェントと交代したらいいのか分からないからです。

下手すると単なるクレーム扱いされる恐れもあります。

 

もっとこの分野に詳しいエージェントにお願いしたいとか、もっとベテランのエージェントにお願いしたいとか、要望がハッキリ分かるように依頼してください。

あなたの要望が叶うとは限らない

しかし、実際問題としてあなたの要望通りに交代してもらえるかどうかは分かりません。

先ほども書いたように、あなただけに構ってくれる訳ではないないからです。

そこでどうしても希望通りに交代してもらえそうもない、そんな状況なら別のエージェントサービスに登録を変えるのもありです。

 

ただ、相性だけで次から次に変えるのはキリがありません。

そもそも相性問題に100%なんてあり得ないと思った方がいいです。

転職エージェントはあくまで相性より能力重視でお付き合いしてください。

 

補足①転職エージェントは総合型と特化型がある

転職エージェントには総合型特化型の2種類があります。

あなたは総合型を選ぶべきか、特化型を選ぶべきか?

結論から言うと、どちらもアリです。

それぞれにメリット、デメリットがあります。

 

総合型か特化型か

総合型

総合型のメリット

●幅広い業界、業種を扱うので、求人件数が多いし異業種への転職も可能性が広がる。

➡モノづくりエンジニアだけでなく、営業職や事務職まで選択肢に入れたいのなら、総合型を利用する。しかし生産技術や設備保全などの範囲なら特化型でも十分対応可能。

 

総合型のデメリット

●広範囲の求人を扱うためアドバイザーに専門性が欠ける、仕事が雑になりがち。

➡モノづくりエンジニアのジャンルは求人件数も多く、高額年収の案件も多いので雑な扱いにはならない。総合型にもモノづくりに詳しいアドバイザーがいます。

 

面接でアピールする

特化型

特化型のメリット

その分野に特化しているので企業との太いパイプがある。また専門性の高いアドバイザーがいる。

 

特化型のデメリット

●総合型より求人件数が少ない。トータルのサポート提供力では優位とは言えない。

➡確かに求人件数は少ないが、2社併用でカバーできる。サポート力は特化型のメリットを活かして十分期待できる。

 

以上の比較検討から、特に総合型、特化型を意識することなく、あなたが使いやすい転職エージェントを選んでください。

デメリットをカバーする意味で、2社以上の複数利用がおすすめです。

 

補足②勤務地は関東・関西・東海に60%~80%が集中している

モノづくりエンジニアの求人は、どこの転職エージェントでも関東・関西・東海エリアに全体の60%~80%近くが集中しています。

この3エリア以外では求人がとても少ないです。

 

日本地図
勤務地によって求人件数は大きく変わる

 

あなたが北海道や九州、四国などで機械設計の求人が見つからない時は、リクルートエージェントdodaを利用してください。

この2つの転職エージェントも関東・関西・東海エリアに求人が多いのは変わらないのですが、何しろ全体の求人が多いので、3エリア以外でもそれなりの求人件数があります。

 

関東・関西・東海で求人を探す

マイナビメーカーAGENT

リクルートエージェント

doda

メイテックネクスト

リクルートダイレクトスカウト

 

関東・関西・東海以外で求人を探す

リクルートエージェント

doda

 

補足③転職エージェントはエンジニア出身にこだわるべきか?

マイナビメーカーAGENTメイテックネクストの特化型転職エージェントでは、モノづくりエンジニア出身のアドバイザーを揃えています。

ただし、全員がエンジニア出身と言う訳ではなく、メイテックネクストでは「半数以上」とされています。

 

確かにエンジニア出身のアドバイザーだと、あなたのスキルや資格、キャリアの価値などを理解してもらいやすいでしょう。

しかし、必ずしもエンジニア出身なら誰でも優秀なアドバイザーとは限りません。

 

私が以前、半導体工場でエンジニア募集に利用していた人材紹介会社の担当者は、ほとんどの人がエンジニア出身ではありませんでした。

しかし、中には非常に優秀な担当者もいて、技術のこと、業界のことをよく勉強されていました。

自分にエンジニア経験がなくても、多くのエンジニア転職を支援する中で勉強し、経験を積むことで立派にサポートできる人はいます。

 

コミュニケーション能力
経験がなくても勉強して、プラス誠意と熱意があれば・・・

 

逆にエンジニア出身であっても、転職アドバイザーに不向きな人はいくらでもいます。

エンジニアの仕事と、他人の転職をサポートする仕事はまるで別の仕事だからです。

アドバイザーにはコミュニケーション能力、交渉能力、調整能力、そして応募者の隠れた可能性を見出す能力など、様々な能力とスキルを必要とします。

 

それでも、一般論としてエンジニア出身のアドバイザーに期待することは間違っていません。

あなたがエンジニア出身を希望し、より専門的な対応を希望されるなら、まずはマイナビメーカーAGENTメイテックネクストから利用することをおすすめします。